「電磁波の健康影響を考えるシンポジウム」

質疑応答

 コーディネーター 質問が約40出ています。本当に申し訳ないですけど、時間の関係で全部にお答えすることは出来ません。世話人のほうで整理して、共通点をまとめるなどさせていただくなどをします。この質疑応答の後の意見交換で、私たちはこういう健康被害の可能性もある問題に関して、社会として市民として何を出来るのかということが、おぼろげながらでも出てくれば、今日のシンポジウムは成功だと思います。そちらのほうに時間を回しますので、ご了解ください。


電磁波への対処法

 コーディネーター まず荻野さんにお聞きします。家庭の電化製品や送電線の電磁波についてどういう対処法があるのか、具体的に分かる範囲内でお答えいただきたいと思います。
 荻野さん 電磁波を測ってみることが一番なので、関心のある人何人かで簡単な測定器を買って、家で一度測ってみることを推奨したいと思います。
 私が一番問題にしているのは、IHクッキングヒーターと床暖房ですね。床暖房も、こんなところに赤ちゃんを寝かせているなんて、もうやめてほしい。影響が本当に明らかになった時に、いったいだれが責任を持つのか。国も学者連中もどこも責任持ちませんよ。それは日本の過去の公害がよく示しています。ですから、やはり我々市民ひとりひとりが対処するより仕方がないので、そのためには自ら測定をやるということではないかと私は思っています。


電磁波影響の疫学(1)

 コーディネーター 津田さんにご質問です。小児白血病の増加はどれくらいの人口集団について、どれくらいの増加がみられるのでしょうか? また、症例対照研究以外の研究もあるのでしょうか。
 津田さん フェイシングとアールボムが1993年に発表した研究(15頁)は、スウェーデンの全国研究です。ですから、症例対照研究という形式をとっていますけれども、実はコホート研究と同じことですね(※1)。1950年代から1980年代中ごろまでを追跡したのと同じことです。スウェーデンの人口は約900万だと思います。患者の数はここに載っているとおり(27人)です。

  • (編注※1)症例対照研究は、疾病にかかった人と疾病にかかっていない人がそれぞれ曝露していたのか否かを調査し、曝露状況を比較する方法による研究。コホート研究は、曝露があった人と曝露がなかった人の疾病の発症状況を比較する方法による研究。

 コーディネーター 今の事で荻野さんちょっと言ってもらっていいですか?
 荻野さん アールボム博士がこの研究をやって発表したのが1992年のカロリンスカ報告です。それを国際会議で報告した時に、欧米などの研究者から-アメリカが中心だったと思いますけども-「症例が少ない」と大批判が起きました。その時にアールボムは「スウェーデンが小さな国なのが残念だ。もっと大きな国なら患者がいっぱいいる」と言った。その一番大きな国の一つが日本なのですよ。ですから、日本にやってきたWHOのお偉方が来日した時に「日本で疫学調査をやってほしい」と言ったばかりに、日本の省庁はやりたくないのにやることになったのです。その結果が兜報告なのです。
 スウェーデンと同じような結果を出したその兜報告を、日本の科学者や官僚連中らが潰したのですよ。本当に悲しい。そういう国がこの日本だということに、私はいつも本当に悲しい思いをしていますよ。WHOから来たお偉方が日本に来てびっくりしたのは、送電線の下に家がたくさんあることだった。送電線の周辺の人口密度は、日本はアメリカの100倍前後なのですよ。そういうことを考えると、例えばね、このICNIRPの指針値よりも日本の基準値は100分の1程度に下げるべきだと僕は思うのですけどもね。


電磁波過敏症の対策など

 コーディネーター どうもありがとうございます。宮田さんには、電磁波過敏症は診断書が出せるかということと、電磁波過敏症の対策をお答えいただきたいと思います。
 宮田さん 医者の立場からしますと、問診だけで診断を出すことは不可能なのですね。例えば精神科の場合に関しては、診断基準にそって症状をいくつか集めることによって診断を出せるのですけども、一般の病気の場合、普通は証拠があって初めてその診断が出される。そして、現在のところ私たちは、患者さんが電磁波に過敏ですよということしか分からない。それだけで診断書が書けるかというと、思い込みだけの人とそれでは区別がつかないのです。思い込みだけなのかどうかは、患者さんと話していれば大体分かるのですけども、大体では診断ができない。何とかもう少し証拠をつかみたいと思って研究をやっているのですが、今のところは、はっきりした証拠はまだつかめておりません。申し訳ないのですが、もう少しお時間をいただきたいと思います。
 それから、電磁波過敏症の対策となりますと、一番大事なのは電磁波から逃げるということ。先ほどもちょっとお話が出ましたけども、家の中の配線の距離は、ものすごく長いです。現代的な住宅には、床下、壁裏にものすごい距離の配線が走り回っていますので、家を作るときにそれを出来るだけ配慮する。場合によっては、配線を鉄のパイプに通してアースをとって、そして出来るだけそれから逃れる。
 それから、もう一つは、身体を頑強にして電磁波に強い体にしてもらう。それしかないのです。結局、昔から言われているように、色の濃い野菜や、マグネシウムが良い。スウェーデンの報告ですとやはりマグネシウムの補給が一番有効だと言っていますので、まずは自然の塩を使っていただいて、そして煮物、汁物ににがりを少したらしていただく。これは、大腸がんにもききますが、取りすぎると下痢しますので、適当に手加減していただく。あとは抗酸化療法といいますか、野菜をたくさん食べていただく。私たちの食べている野菜の量は中国人の半分ですので、ちょっとひと踏ん張りして今の倍くらい食べていただけたらありがたいと思います。


経産省WGの役割

 コーディネーター 斎藤さんに、経済産業省のワーキンググループ(WG)の結論を主導した大久保千代次さんは、薬剤エイズの時の非加熱製剤に固執した安倍英医師と同じ役割を果たしているのではないのですか、という質問です。
 斎藤さん ちょっと詳しくないので正確な事は言えませんが、立場的にはそうなるのでしょうね。だいたいまあ、経験則でしか言えませんけれども、政府がこういった研究会だとか審議会の類を作った場合に、そこに集まってくるというかそこで起用される人というのは、基本的に国の方針をそのまま形にしてくれる人というのが、まあセオリーというか、大体いつものことですので、この場合もそうなるのだろうと思います。ただ、正確なことは直接取材していないので分かりません。すみません。


署名の効果

 コーディネーター 連絡会議に一つ質問が来ていますが、100万人署名をやっているけれども、署名の効果なんてあるのか。
 集めたこと自体が社会を強力に動かすことは、なかなかないのですけど、じゃあ、なぜやっているのかというと、電磁波問題はまだまだマイナーなのですよ。このような問題があること自体も知らない人たちに対して、署名を集める中で、国民、市民の意識を啓発することにもつながりますし、また、国会でのロビー活動として国会議員の方に、これまで集まった8万筆くらいの署名をまず持っていく。そうする中で私たちも縷々説明しますし、あるいはマスコミにも言う。8万筆は、大変な数ですよ。そういうことをやる中で、社会や、国会議員やいろいろな方々に啓発し、電磁波問題で今これだけ苦しんでいるし、いろいろな問題があるということを社会全体に広めていくツールとして、署名運動は有効です。


WGによる疫学のねじ曲げ

 コーディネーター 順不同になりますけど、津田さんに、経済産業省WG報告書案が疫学を否定しておりますけども、これについて具体的に反論してほしい、というご質問なのですが。
 津田さん 前にもそれを頼まれたので、いろいろなところに私の書いたコメントを出していましたので、それを読んでください(資料5)。WGの内容は、あまり大したことないです。疫学を否定しているわけでない、疫学を否定しきれているわけではなくて、疫学の内容をねじ曲げているというのが正しいです。WHOでは否定していることを、まあどこまでもこだわってみたりして、要するに(相対危険度)2.0倍というのを、何とか低めようと努力されているのですけども、それは無理です。論文にもしないし。アールボムさんはちゃんと論文にしていろいろなところで発表していて、この方法はこうだと発表している。アールボムさん以外の人たちも似たようなメタ分析やっていて、同じような結果を得ているわけです。


送電線以外の電磁波

 コーディネーター 申し訳ございませんが今日は極低周波が中心なので、携帯電話に関する質問は意図的に省かせてもらっていますけど、一部だけ取り上げますが、これは荻野さんへの質問かと思いますけども、例えば送電線は24時間ずっとあるものですよね。そうではなくて、電気機器とか携帯電話など短時間使うものに関する危険性を調べた研究というのはあるのでしょうか。
 荻野さん 携帯電話に関しては、ユーザーについての研究はたくさんあります。疫学は10以上はあると思います。ユーザーに関して今問題になっているのは、簡単に言えば10年以上の使用者です。どうも短い時間ではあまり有意な結果は出てきていないけれども、10年を過ぎると脳腫瘍、聴神経腫瘍とかが増えているのではないか、という研究が多いですね。ですから、長期利用が問題になっています。
 それから、携帯電話よりも電磁波の強度は弱いですけども、先ほど宮田先生も話されましたタワー(携帯電話中継基地局)の周辺は、夜中もいつも電波が出ている。それは送電線と同じことですね。タワーの周辺で住民が寝ている時の影響は、携帯電話を使っている時の研究ではやれないのです。寝ながら携帯電話は使えませんからね。寝ている時に脳は、ものすごい静かに寝なければ駄目なのですよ。動物というのは寝なければ死んじゃうんですよ。タワーはある意味では、脳を含めて全身にストレスをかけている。タワーからの電磁波による夜間のストレスが、これからの若い人たちに対してどう影響していくのかということを大変心配しております。


電磁波影響の疫学(2)

 コーディネーター 環境中には電磁波だけではなくて、健康に影響し得る他の要因、因子がいっぱいありますが、それらの複合とか相乗的な効果についてどう考えていったらいいのか。また、小児や胎児への影響についての基本的な考え方とか研究成果を教えてもらいたい、という質問です。
 津田さん 16頁のアールボムらのメタ分析(2000年)で、アールボムが各国の研究を吟味する際に、年齢、性別とか郊外・都市部、あるいは社会経済的要因、そういう利用できる限りのデータを利用していますが、他の要因による影響の可能性については、重々に検討しているわけですね。小児白血病について他の要因として今分かっているものはそれほど多くはなくて、他の要因との相乗作用についてはまだ研究が進んでないですけれども、他の要因(交絡要因)によるバイアスというか見せかけのリスク上昇が起こらないように、ほぼ考えられる限りの調整は行われている。だから、メタ分析の結論として、交絡要因に関してはほとんど言及されていなくて、残る問題は選択バイアスの問題だと言っているわけです。WGの問題は、選択バイアスの問題を掘り下げるのではなく、交絡要因の問題を掘り下げているわけです。ここでやっぱり、かなり勇み足が生じているわけです。メタ分析の結果は0.4μT以上で(相対リスク)2倍という数字なのですけども、日本は100μT(西日本は83μT)でしか規制しようとしていない。このギャップが今問題になっている。非常に分かりやすい問題です。


胎児への影響

 荻野さん 胎児への影響は、私が一番心配している問題の一つです。送電線、電化製品で流産が増えるという論文がいくつもある。特にアメリカ・カリフォルニア州の研究がとても大きな流産増加率を示していて、ショックを受けました




 携帯電話のタワーの周辺で動物を調べた研究が出始めてきた。特に大変びっくりしたのは、シュバシコウというコウノトリの仲間の巣を調べたスペインの研究です。携帯電話タワーから200m以内の巣はそこに雛がいないのが4割もあった。300mよりも遠いところでは、同じ数の30の巣の中で雛がいなかったのは一つだけだったという論文が発表された。これは自然界における初めての調査結果ですね。それから、細胞レベルでもショウジョウバエを対象にして影響がどうも出ているようだという論文が最近出てきましたし、鶏の卵に携帯電話の電磁波を与えるとだいたい半数が孵化しないという論文は、私が知っているのでは4件ありますね。
 それでですね、私はいつも言うのですよ。総務省とかそういうところが、安全な結果が出そうな研究だけをやって、安全だ安全だと言っているんですよ。携帯電話の電磁波で鶏の卵がどう孵化するのかなんて実験は簡単に出来るはずですよね。その研究がこれまで四つもあって、半分は孵化しない。だから、そういう研究をやってくれと言うのですけどね、やらないですね。やばいことはやらない。




 それで、宮田先生が言われたカルシウムの漏洩の問題ですが、私は去年からこのことをかなり言い始めました。というのは、皆さんご存知だと思いますけども、流産死した男女比を調べると、日本は男児のほうが2.3倍も多いのですね。70年代から男児流産が増えてきている。私の調べでは、西ドイツ、アメリカではそのような現象は起きていない。日本特有な現象です。この原因は電磁波とは限りませんし、私はどちらかというと「塩が原因では」という説だったのですが、去年ぐらいから電磁波を疑い始めました。その理由は、鶏の卵にまず60Hzを与えて、孵化してきた雛に今度は50Hzを与えると、その脳細胞からカルシウムのイオンが抜け出すという論文があるからです。50Hzと60Hzの組み合わせのうちで、60-50の組み合わせのみが大問題なのです。その両方を使っているのは日本だけですからね。とにかく、私は低周波も高周波もストレッサーになっているのはまず間違いないという気がしております。
 最近でも免疫関係の安保徹さんなどが「電磁波はやばい」と書かれていますね。私は人間の体というのは、まだ本当に分かっていないのだという気持ちを持っております。


電磁波対応ルーム

 コーディネーター どうもありがとうございます。宮田さんに、先ほどの電磁波対応ルームをどのように作っているのか、もうちょっと説明してほしいということですが。
 宮田さん 具体的に詳しくは書かれていないのですけども、外部からの変な電磁波をカットする、自宅内で最低限の電気は使ってと、そういう家です。ですから、多分全ての窓には電磁波の反射板をつけて、建物ではアースを取りまくったという部屋だと思います。常識的にはこれしかありませんので。
 コーディネーター 私の方で付け加えますが、人間への影響よりも電磁干渉-電気機器への電磁波の影響を防ぐための研究は、一部の企業ではかなりやっております。


ケータイ社会をどうする

 コーディネーター 斎藤さんへの質問ですが、先ほど「私はケータイ嫌いだ」とおっしゃったのには非常に同感なのですが、実際これだけ多くの方が携帯電話を使ったりとか、あるいはオール電化がどんどん進んでいるが、一体どうしたら良いのでしょうか。
 斎藤さん 身を守るには、自分自身がケータイを持っていなければ少しはいいのでしょうけども、他の人の携帯に身をさらしているという点では自分自身が持とうが持つまいがあまり関係はないので、それについて僕は特殊な方法を持っているわけではありません。ただ、僕の場合は一つの自己満足として、自分が多少便利になる代わりに人に電磁波をくらわせる側には回らないぞということが、自分自身のストレスを弱めて、きっと電磁波のショックも少しは和らげてくれるのではないかというふうに思うしかないのではないかなと。だから、こういうのって、いろいろあると思うのですが、電磁波が大変だから何とかそれを減らしてくれ、基地局建てないでくれという運動をするのも一つの方法ですよね。もう一つは、ひとりひとりの生き方に関わってくる問題なのだろうなと思います。こんなことを言うと反発される方もいらっしゃるかと思うんですけど、僕はこういう運動をもしも進めるのであれば、やっぱり自分自身も持たないという覚悟を持ったほうが良いのではないか、それはまた批判する相手に対する説得力にもなると思うんですよね。僕が仮に総務省やNTTの人間であれば、運動している人に「じゃあ、あんた持っているの」と尋ねて「はい」って言ったら、「何だよそれ。まず自分で持たない事から始めたら」ときっと言うと思うのですよ。僕自身はそこまで厳密なことを今考えているわけじゃありませんが、やっぱりそう考えていったほうが、きっとお互いハッピーではないかなと思いました。
 コーディネーター 今のは一つのご意見ですが、反論もあると思います





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