「電磁波の健康影響を考えるシンポジウム」

【資料3】電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議発足および活動の経緯


 2007/4/26 朝日新聞が「送電線など電力設備の周りに生じる磁界について、経済産業省は規制を新設する方針を固めた」「近く電磁界の環境保健基準をまとめる世界保健機関(WHO)などの動きにあわせ、規制を強化する」「6月から、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電力安全小委員会に有識者、電力会社、消費者団体などが加わる作業部会を設け、具体的な規制対象や磁界の測定方法などを詰める」と報道。
 07/5/10 従来から電磁波問題に取り組んできた市民団体である「ガウスネット」「電磁波問題市民研究会」「日本消費者連盟」が協力して、上記「作業部会(=ワーキンググループ=WG)」の委員に市民の代表も選ばせるよう取り組むこととし、経産省の担当課へ、「会って要望したい」旨を電話で申し入れた。担当者は「日程調整して連絡する」と返答。
 07/5/11 再び経産省担当課へ電話。担当者は「会っても要望には応じられない。すでにメンバーを決めた。メンバーは16日に発表する」と返答。
 07/6/1 第1回WG開催。
 07/6/1 電磁波問題に取り組んできた市民団体の代表をWGの委員にしなかった理由等についての経産相あて公開質問状(別紙1)を、ガウスネット、電磁波問題市民研究会、日本消費者連盟の3団体の連名により、18団体の賛同を得て、第1回WG終了後、経産省の担当課に手渡した。
 07/6/18 WHOが環境保健基準(EHC)を発表。
 07/8/20 第2回WG開催。
 07/8/20 6/1提出の公開質問状に回答がないため、第2回WG終了後、経産省の担当課に督促状を手渡した。
 07/8/20 第2回WG終了後、全国の各団体が参議院議員会館に集まり、署名運動を展開することを決定。「電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議」の発足。活動を担うために、首都圏の団体から「仮世話人」6人を選んだ。
 07/8/27 6/1提出の公開質問状への回答、および8/20提出の督促状について、経産省の担当課に電話で問い合わせたところ、「いただいた質問状はWGのとりまとめや私たちの参考にする。個々の質問に回答はしない。私たちには原子力関係も含め質問状などがたくさん来るので、これらには対応できない」という趣旨の回答。
 07/9 署名運動を開始。
 07/9/28 第3回WG開催。市民団体からの意見書提出を募集することになった。
 07/9/28 拡大仮世話人会を開き、「仮世話人」6人を「世話人」とすること、世話人の中から、網代、大久保、懸樋の3人を(共同)代表世話人とすることを決めた。
 07/10/10 連絡会議が経産相あて「電磁場問題ワーキンググループの公正な運営と公開された議論に関する質問書」(別紙2)を提出し、WG担当課の森下泰・原子力安全・保安院電力安全課電気保安室長らから口頭で回答を得た(書面による回答は拒否された)。
 07/10/23 第4回WG開催。第3回で決められた意見書募集に応じて、当連絡会議参加団体からも意見書を提出したが、WGではほとんど議論の対象にされなかった。
 07/12/5 第5回WG開催。超低周波磁界の曝露規制について、短期曝露対策として100μT(50Hz)、83μT(60Hz)で規制すべきとした一方、長期曝露対策の規制は行わないとする報告書案が提出された。
 07/12/5 第5回WG終了後、連絡会議が参議院議員会館で経産省による電磁波の新たな規制方針に抗議する院内集会」を開催。
 07/12/20 第6回WG開催。報告書案をほぼまとめて、WGは終了した。
 07/12/25 第6回WGの結果を受けて、連絡会議が「経済産業省ワーキンググループによる報告書案に抗議し、「リスクコミュニケーション」の推進を求める声明」(別紙3)を発表。
 07/12 署名第1次集約。約3万筆。
 08/4/13 「電磁波の健康影響を考えるシンポジウム」開催。
 08/5~6 署名84,500筆を衆参両議長あてに提出(紹介議員18名)。


(別紙1)

2007年6月1日
経済産業省大臣
甘利 明 様


電力設備電磁界対策ワーキンググループに係る公開質問状


私たちは、電磁波問題について、情報収集・発信、調査研究、電磁波による体調不良を訴える方々からの相談対応など、それぞれのやり方で取り組んでいる団体です。

電磁波による健康影響や環境影響については科学的に証明されていない点もあるものの、これまで得られている知見から、健康や環境に重大な影響を及ぼす可能性もあると考えられます。このような問題については、幅広い利害関係者の参加と協議により、予防原則に基づく対応をとることが必要であり、私たちは国などに対してそのような対応を求めてきました。
このたび経済産業省電力安全小委員会に「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」を設置し、電力設備から発生する磁界に関する規制のあり方を検討するとの報道発表がありました。ワーキンググループ(WG)には「消費者関係団体等」も委員とするとのことであり、私たちが求めてきた方向と一致するものと歓迎いたしました。

幅広い利害関係者の参加という趣旨から、「消費者関係団体等」としては、従来から継続的に電磁波問題について活動してきた団体が入ることが適切であると私たちは考え、5月10日に原子力安全・保安院電力安全課の担当の方に「お目にかかって要望したい」旨、電話で申し上げたところ、「日程調整して返事をする」との回答をいただきました。
翌11日に再び電話をしたところ、「上司、および電力安全小委員会の正田先生と相談したところ、要望には応じられないという結論になった。WGのメンバーも決まり、16日に発表する」旨の回答でした。
私たちは、私たちによる要望内容の詳細も聞かないまま「要望に応じられない」と即断した原子力安全・保安院電力安全課の対応について、極めて遺憾であると考えます。

また、本WGが扱うようなテーマについて海外諸国では、企業や国と利害関係のない独立委員会によって検討することなどにより、公平性を確保しています。一方で、日本においては、インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べている厚生労働省研究班長に、タミフルの輸入販売元から研究資金が渡っていたこと等が問題になり、委員会等における公平性の確保のためのルール作り等について大きな課題になっております。
つきましては、以下の質問に6月30日まで、文書でご回答いただきますよう、申し入れます。

1.私たちの要望に応じられないという結論になった理由は何ですか。
2.ワーキンググループのメンバーの選考経過、選考基準を教えてください。
3.ワーキンググループの各メンバー(「電気事業連合会」所属のメンバーを除く)について、過去から現在における各メンバーに対する電気事業者からの研究費・寄付金の提供、各メンバーと電気事業者との間のコンサルタント・顧問・その他の契約について、それぞれの有無と、有る場合の提供元・契約者の名称、および、提供・契約の内容と金額について、調査のうえ公表してください。
以上


(提出団体・五十音順)(連絡先略)

ガウスネットワーク(電磁波問題全国ネットワーク) 代表 懸樋 哲夫/電磁波問題市民研究会 代表 野村 修身/特定非営利活動法人日本消費者連盟 代表運営委員 富山 洋子

(賛同団体・五十音順)(代表者名略)

OFFで子どもを守る会(福岡県宗像市)/化学物質問題市民研究会(東京都)/久留米電磁波公害を考える会(福岡県久留米市)/携帯電話基地局建設反対住民の会(久留米市)/携帯電話楡木中継鉄塔建設に反対する会(熊本市)/新東京タワー(すみだタワー)を考える会(東京都)/託麻西小に近接するソフトバンク基地局の撤去を求める会(熊本市)/託麻の環境を守る会(熊本市)/中継塔問題を考える九州ネットワーク(熊本市)/電磁波・環境関西の会(奈良市)/電磁波環境もんだい埼玉ネット(埼玉県)/電磁波と健康を考える会・みやぎ(宮城県)/電磁波について勉強する会(熊本市)/特定非営利活動法人市民科学研究室(東京都)/ドコモ基地局移転要望の会(久留米市)/VOC-電磁波対策研究会(札幌市)/別府の住環境と子供の未来を守る会(大分県別府市)/VOICE.Labo(福岡市)


(別紙2)


経済産業大臣
甘利 明 様


電磁場問題ワーキンググループの公正な運営と公開された議論に関する質問書

 6月1日より開催中の「電力設備電磁界ワーキンググループ」について、今後、公正に行われますことを切望し以下の通り質問致します。

1、現今のワーキンググループでは、電力設備から発生する電磁場について、それがもたらす可能性のある健康被害を防止するための基準作りが検討されていますが、WHOのEHCでは「あらゆる電磁場発生源」を対象としています。たんに「電力設備」の磁場規制だけに限定せず、あらゆる発生源に対応するためには経済産業省、厚生労働省、国土交通省、環境省、文部科学省等、関係する省庁が合同で協議するワーキンググループに作り直す必要があると思われます。この点について、お考えをお聞かせください。

2、2002年に発表された国立環境研究所の報告(兜研究報告)に対して、非公開で実施された文部科学省の評価委員がオールC評価を下し、その疫学研究で示された小児白血病の発症リスクの増加という結果を無効としました。
WHOはEHCにおいて兜論文をはじめとして諸外国の同様の疫学研究報告を取り上げ、小児白血病に関するリスクとの関連性を否定することはできないと認定しています。それ以前にもIARCは、同様の疫学研究の結果をもとに低周波磁場について「発がんの可能性あり」とのランク付けを行っています。
文部科学省評価委員会が兜研究報告をオールCと評価した一つの根拠に「学術論文による発表で既刊あるいは受理されたものはなく」、国際的に評価される成果を挙げていないとしています。しかし2006年8月の論文専門誌「国際がんジャーナル」に兜研究報告が掲載されました。このことからみられるように文部科学省の評価委員会の結論は著しく妥当性を欠いています。
ワーキンググループはまずこの「電磁波疫学調査」研究報告の意義と重要性について、きちんと評価すべきと考えますが、ご見解をお示し下さい。

3、今回のワーキンググループの中には少なくとも2人の教授が大学の研究費を関連企業から受けていることが明らかになっています。利益相反の観点から、それらの教授の研究の中立性に疑いを持たざるをえませんので、今回のワーキンググループのメンバーからはずすことが適当だと考えます。また他にも電力関連企業から資金を受け研究している委員がいましたら、その事実を公表の上、同様の対処をお願いします。電気事業連合会公務部長の肩書きの委員についても、公正な立場にいるとは言えず、やはり同様の対処が適当です。以上の委員をメンバーからはずせないとするなら、その理由をお示しください。

4、WHOはEHCの勧告のなかで、「極力コストを抑えた予防対策」を推奨しています。これを我が国に適用する場合、これを「コストがかかる予防対策はできない」として対策を講じることを回避するための弁明に使わないようにしてください。少なくとも次の4件については、「極力コストを抑えた」上で対策を講じることは決して不合理なことではないと考えます。

・新たに電力設備を設ける場合は、3~4mG以上で小児白血病のリスクが増加するという疫学調査結果に基づき、その設備から発生する磁界により、その周囲の住宅、学校、病院など、人が長時間居住、滞在、利用する場所で4mG以上にならないよう規制すべきです。
・既存の電力設備については、3~4mG以上で小児白血病のリスクが増加するという疫学調査結果を重視し、磁界低減対策を積極的に講じるよう、設備設置者に義務づけるべきです。
・新規および既存の電力設備については、その周辺住民等との意見交換を十分に行い、住民等との合意に基づいた対策を講じるよう、設備設置者に義務づけるべきです。
・周辺への磁界が4mGを下回る施設であっても、電磁波に特に敏感な人々が周辺にいる場合には、その人々と協議をしながら対応、配慮を行うよう、設備設置者に義務づけるべきです。

これらの対策を講じることに関してどうお考えでしょうか。

5、作業部会の委員に選ばれていない疫学者、電磁波問題研究家、一般市民、消費者団体代表で私たちの推薦する人の意見を聞く時間を設ける考えはありませんか。

以上


2007年10月10日
(提出者)
電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議
(構成団体=本質問書提出日現在、五十音順)(略)
(連絡先)(略)


(別紙3)

経済産業省ワーキンググループによる報告書案に抗議し、
「リスクコミュニケーション」の推進を求める声明


 経済産業省の電力設備電磁界対策ワーキンググループ(以下、WG)(注)は、12月20日、超低周波磁場の規制等に関する報告書案を概ね決定しました。これを受けて同省は、比較的強い磁場への短期曝露による健康影響を防ぐために、100μT(50Hzの場合)という基準値を設定することになります。
 しかし、弱い電磁波による長期的な曝露が健康に影響する可能性を示した各国の疫学調査について、WGは正当な評価をしないまま報告書案をまとめ、長期曝露について規制しないこととしました。これでは、市民は安全に安心して生活できません。私たちはこの報告書案に抗議します。
 私たちは、WHOも推奨している「リスクコミュニケーション」の場が設けられるよう求めます。そして、経済産業省以外の関係各省や、「電磁波は危険ではない」と主張するWGの研究者とは異なる見解を持つ研究者、電磁波問題に取り組んできた市民団体等、すべての利害関係者がそのリスクコミュニケーションの場に参加することにより、市民が納得できる電磁波対策が進められるよう求めます。
 私たちは、全国30団体の連携による「電磁波から健康を守る百万人署名」の取り組みを始めました。市民の声を結集して、リスクコミュニケーションをはじめ、電磁波から市民の健康を守るための諸施策の実現を目指していきます。


2007年12月25日
電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議
http://denziha.net/

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私たちは、以下の5項目の問題点などを根拠に、上記声明を表明しました。


WGおよび報告書案の主な問題点


1.電磁波による健康影響についての評価
 世界保健機関(WHO)が今年6月に発表した「環境保健基準(EHC)」は、毎日、長期にわたって0.3~0.4μTを上回る超低周波磁界へ曝露すると、小児白血病のリスクが約2倍になる、という科学的証拠について「因果関係ありとするには十分強固ではないものの、懸念を抱き続けるには十分強固」であり、「慢性の影響の存在については不確実性が存在するので、予防的アプローチを採用することが必要である」と述べています。
 しかし、報告書案では「因果関係が確認でき」ない(9頁ほか)ことのみを強調しています。

2.WGの委員構成と運営
 WGには、規制を受ける当事者である電力業界の代表が委員として参加しました。また、委員である研究者のうち少なくとも2名は、超低周波電磁波の規制対象である電力業者や、高周波電磁波の規制対象である電気通信業者から研究費を得ています。過日、インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べている厚生労働省研究班長に、タミフルの輸入販売元から研究資金が渡っていたこと等が問題になりましたが、これと同様の問題がWGにもあります。
 その一方で、これまで電磁波と健康影響の問題に取り組んできた市民団体等の代表をWGに委員として参加させるよう求めたのに対し、経済産業省はこれを拒否しました。
 以上のように、WGの委員構成は電磁波の安全性を強調する立場に偏っていると言わざるを得ません。

3.リスクコミュニケーションのあり方
 報告書案が提言している「リスクコミュニケーション活動の充実」(35頁以下)の文面は、電磁波のリスクについて「正確な情報が届いていない」ために「不安や疑問」を持っている国民を安心させるための「リスクコミュニケーション」、というトーンで書かれています。
 しかし、WHOが推奨しているリスクコミュニケーションは、すべての利害関係者の参加による「意思決定を可能とする」(報告書案7頁囲み)ための場です。
 報告書案はリスクコミュニケーションの意義を矮小化しようという意図がある、と読み取れます。

4.規制の対象
 WGは、規制対象を送電線や変電所などの電力設備だけとしました。しかし、超低周波磁場は、家電製品や、室内配線などからも発生するため、規制対象を電力設備に限ることに合理的な理由はありません。WHOのEHCも、「あらゆる電磁場発生源」を対象としています。
 室内環境全体や、公共交通機関、労働環境等も含めたあらゆる生活環境におけるあらゆる超低周波磁場発生源をも、規制等の対象とすべきです。

5.電磁波過敏症についての認識
 生活環境中に一般的に存在するさまざまな電磁波によって、頭痛、皮膚の痛み、集中力欠如などさまざまな症状が引き起こされる電磁波過敏症について、本報告書案は「症状と電磁波の曝露に関係は認められない」(10頁)と書いています
 しかし、電磁波に反応して苦しんでいる人々は、確かに存在します。そして、日本にも、電磁波過敏症に関する先進的な診療や研究に取り組んでいる医師・研究者が存在するにもかかわらず、そうした医師・研究者に対して、WGは何らの調査もしないまま、「関係は認められない」と書きました。

(注)正式名称は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会電力設備電磁界対策ワーキンググループ





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