電磁波と健康影響に係る前政権による政策の見直し(予算削減を含む)のお願い

(1)電磁波から健康を守る全国連絡会の会員有志により、2009年11月24日、内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)、経済産業大臣、および総務大臣あてに要望書を提出しました。

(2)電磁波から健康を守る全国連絡会(の会員総意)により、2010年2月15日、同要望書を改めて、内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)、経済産業大臣、および総務大臣あてに要望書を提出しました。政府を代表して、高橋千秋・経済産業大臣政務官が、連絡会世話人(網代、上田、大久保、門川)と面談のうえ、受け取ってくださいました。面談の模様の概要は、こちら

(3)電磁波から健康を守る全国連絡会が2月15日に提出した要望書の内容について3月1日、民主党副幹事長(総務省担当)の佐藤公治参院議員にご面談いただき、連絡会世話人(網代、大久保、懸樋、門川)が改めて要望しました。面談の模様の概要は、こちら


内閣府特命担当大臣(行政刷新担当) 仙谷 由人 様
経済産業大臣 直嶋 正行 様
総務大臣 原口 一博 様


電磁波と健康影響に係る
前政権による政策の見直し(予算削減を含む)のお願い


拝啓 平素より、市民の健康増進にご尽力いただき、ありがとうございます。
 私たちは、電磁波問題に真摯に取り込む全国の団体です。急性影響を引き起こさない程度の弱い電磁波に曝露され続けることにより、白血病などの健康影響が引き起こされることを示唆する研究報告があります。また、生活環境中の電磁波により様々な症状に苦しむ「電磁波過敏症」の方々がいます。私たちは、そのような問題について、情報収集・発信や、市民からの相談への対応などを行っております。
 このたびの総選挙によって誕生した新政権に、ご期待申し上げております。連立政権の中心を担っている民主党がマニフェストに掲げた「ひとつひとつの生命を大切にする」との理念、また、「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」との原則に基づき、以下の通り要望いたします。

(超低周波電磁波について=経済産業省所管)
 世界保健機関(WHO)は、「国際電磁界プロジェクト」を設け、電磁波(電磁界)による健康影響について10年以上にわたって調べました。その結果として、2007年6月に超低周波電磁波についての「環境保健基準(EHC)」を公表しました。EHCは、①弱い超低周波磁界への長期曝露が小児白血病のリスク増加と関連しているので「予防的アプローチ」(予防的措置)を採用すること、②住民・市民を含む利害関係者を政策決定に参画させること……等の勧告を行いました。
 EHC公表のタイミングに合わせて、経済産業省は「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会」に「電力設備電磁界対策ワーキンググループ(WG)」を設け、超低周波電磁波に関する規制等について検討を行い、報告書をまとめました。経済産業省は、このWG報告書に基づいて、電力設備を対象とした超低周波磁界の規制値策定作業を現在進めています。しかし、WG報告書は上記のEHC勧告に基づいていないなどの問題点があり、同報告書に基づいた規制では、市民の安心・安全な生活が確保されません。

(高周波電磁波について=総務省所管)
 WHOの国際電磁界プロジェクトは、超低周波電磁波に限らず、住民・市民も含む利害関係者を政策決定に参画させることの重要性を指摘しています。総務省は、高周波電磁波の健康影響に係る調査研究業務について総務省管轄下の公益法人と業務請負契約を締結に実施してきました。しかし、研究テーマの選定、研究態勢など、研究のあり方についての検討に市民が参画していません。その他にもさまざまな問題点があり、結果として、これらの研究によって私たちの健康を守るために意味のある科学的知見を得られているのか、疑問がある状況となっており、税金の無駄遣いとなっております。

 したがって、以下の点について要望するとともに、私たちとの意見交換の場を設けていただくよう、求めます。
 なお、より詳しくは、別紙「要望の趣旨」をご覧ください。

(超低周波電磁波について=経済産業省所管)
1.経済産業省は、超低周波磁界の規制値策定作業を中止し、利害関係者として市民団体も含む公正・公平なメンバー構成による場を新しく作ってください。そこにおいて、「超低周波電磁波に関する規制等のあり方」について検討を行ってください。

(高周波電磁波について=総務省所管)
2-1.総務省による高周波電磁波と健康影響についての研究費について、すでに予算化されているもののうち執行停止が可能なものは停止し、また、新年度予算には計上しないでください。
2-2.WHOも指摘している利害関係者である市民団体を加えた公正・公平なメンバー構成による検討会または円卓会議等の場を設け、高周波電磁波の健康影響に係る研究テーマ、研究態勢など、研究のあり方について、真に市民の利益とするための検討が保証される仕組みを構築してください。そのために有効な予算の計上をしてください。

以上

(2009年11月24日提出時の差出人表記)
【提出団体】(五十音順)<代表者名略>
ガウスネット・電磁波問題全国ネットワーク
鎌倉の電磁波汚染の改善を目指す会
子どもを電磁波から守る会
新東京タワー(東京スカイツリー)を考える会
末広町KDDIアンテナ局撤去移転対策会議
スカパー巨大アンテナに反対する住民の会
中継塔問題を考える九州ネットワーク
電磁波・環境関西の会
~電磁波の健康影響を考える~タンポポプロジェクト
電磁波と健康を考える会・みやぎ
電磁波問題市民研究会
特定非営利活動法人環境と健康を考える会
特定非営利活動法人市民科学研究室
VOC-電磁波対策研究会

【連絡先】<略>

(2010年2月15日提出時の差出人表記)

2010年2月15日

【提出者】電磁波から健康を守る全国連絡会
      代表世話人 網代 太郎
        同   大久保 貞利
        同   懸樋 哲夫
     (連絡先)<略>

電磁波から健康を守る全国連絡会 参加団体・個人(2010年1月1日現在)
 あぜ工房(長野県)
 いのちと環境を守る福岡ネットワーク( 福岡県)
 植田武智(東京都)
 NPO VOICE.Labo(福岡県)
 ガウスネット・電磁波問題全国ネットワーク(東京都)
 化学物質問題市民研究会(東京都)
 株式会社豊田健康生活センター(愛知県)
 鎌倉の電磁波汚染の改善を目指す会(神奈川県)
 子どもを電磁波から守る会(大分県)
 自然環境センター(大阪府)
 自然食品の店(有)すこやか広場(神奈川県)
 食の安全と環境を考える会(千葉県)
 新東京タワー(東京スカイツリー)を考える会(東京都)
 末広町3番9KDDI携帯電話基地局撤去(移転)運動協議会(長崎県)
 スカパー巨大アンテナに反対する住民の会(東京都)
 全国自然保護連合(東京都)
 全日本農民組合連合会(東京都)
 中継塔問題を考える九州ネットワーク(熊本県)
 電磁波・環境関西の会(奈良県)
 電磁波環境研究所(京都府)
 電磁波環境もんだい埼玉ネット(埼玉県)
 ~電磁波と健康影響を考える~たんぽぽプロジェクト~(長野県)
 電磁波と健康を考える会・みやぎ(宮城県)
 電磁波問題市民研究会(千葉県)
 特定非営利活動法人市民科学研究室(東京都)
 特定非営利活動法人環境と健康を考える会(福岡県)
 特定非営利活動法人日本消費者連盟(東京都)
 福江環境を語る会(長崎県)
 VOC-電磁波対策研究会(北海道)

※本要望書は、既に2009年9月に提出いたしました要望書と同内容のものを、さらに多くの団体・個人の共同によって再提出したものです。


(別紙)

要望の趣旨


超低周波電磁波(経済産業省所管)について
 世界保健機関(WHO)による「環境保健基準(EHC)」公表(2007年6月)のタイミングに合わせて、経済産業省は「電力設備電磁界対策ワーキンググループ(WG)」を設けて、超低周波電磁波に関する規制等について検討を行いました。その結果、WGは2008年6月、概要として以下の通りの提言を盛り込んだ報告書をまとめました(報告書34~37ページ)。
○高レベルの磁界への短期的な曝露について
市民を健康影響から防護するために、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が1998年に定めたガイドライン100μT(50Hzの場合)、83μT(60Hzの場合)を基準値とする。
○低レベルの磁界への長期的な曝露について
①磁界曝露と健康影響との関係に不確かさが残っていることから、引き続き、産学官が協力して研究を推進すべきである。
②電磁界について不安を抱える人々に正確な情報提供を行う必要があるため、不安や疑問を持つ人々との信頼感の構築を目指すリスクコミュニケーションの増進を目的とした、中立的な常設の電磁界情報センター機能の構築が必要である。
③幼稚園、保育所、小学校等多数の子供が定常的に集まる場所、あるいは、その他にも電磁界の健康影響について強い不安を抱いている住民が住む地域の近傍に電力設備を新たに設置する場合には、磁界低減に科学的な根拠は見出せないものの、電力事業者は、近隣住民等の心情に配慮して、住民との合意形成に格別の努力を払うべきである。
④日本の電力設備から発生する磁界レベルは既にかなり低くなっており、これ以上の磁界低減を図ることは、設備の安全性、電力の安定的供給や相当の費用等の問題があり、合理的な対応とは言えない面がある。したがって、電気事業者が新たに設置する設備についての曝露低減のための低費用の方策としては、既に実施されている努力を可能な範囲で引き続き継続することが望ましい。
⑤ICNIRP等の科学的な根拠に基づく合理的なガイドライン値を無視して、恣意的に曝露制限値の設定を行うことは認められない。
 しかし、このWGおよび報告書には、以下の(1)~(5)の通り、さまざまな問題点がありました。
(1)疫学的証拠への認識
 WHOのEHCは、毎日、長期にわたって0.3~0.4μTを上回る超低周波磁界へ曝露され続けると、小児白血病のリスクが約2倍になるという疫学的証拠について「因果関係ありとするには十分強固ではないものの、懸念を抱き続けるには十分強固である」(1.1.11健康リスク評価)と述べ、また、「一貫した疫学的証拠は、弱い超低周波磁界への長期曝露が小児白血病のリスク増加と関連していることを示している。しかし、因果関係に関する証拠は限られており、そのため疫学的証拠に基づいた曝露限度は推奨されないが、なんらかの予防的措置は正当化される」(12.6結論)とも述べました。しかし、WGは「因果関係ありとは言えない」という部分のみを強調し、予防的措置への取り組みは否定しました。
 これでは、高圧線の近くに住む市民等は、子どもが白血病になるのではないか等の不安を抱えたままであり、安心して生活することができません。
(2)リスクコミュニケーションへの理解
 EHCは「国の関係省庁は、すべての利害関係者にとって納得のいく政策決定ができるように、有効で開かれたコミュニケーションのための戦略を採用すべきである」(13.5.1勧告)と述べました。また、「利害関係者には、政府当局、科学界および医学界、擁護団体、消費者防護組織、環境防護組織、計画者や不動産業者など影響を受けるその他の職業、また電力業界や電気機器製造業を含む業界などがある」(13.5考察および勧告)とも述べました。すなわち、WHOが言うところのリスクコミュニケーションとは、政策決定を目的とするものであり、また、市民団体(消費者防護組織、環境防護組織)等も含めたあらゆる利害関係者が参画するものです。WG報告書は「リスクコミュニケーション」について、「不安を抱える人々に正確な情報提供を行う」ことだと述べていますが、これは「広報活動」ではあっても、WHOが言うリスクコミュニケーションではありません。WGはWHOの見解を拠り所とするポーズを示しながら、実際にはWHOの主張を歪曲したのです。
 その結果として、WG報告書に基づいて財団法人電気安全研究所に設置された「電磁界情報センター」も、その実際の体制や活動は、センター自身が掲げている「中立的なリスクコミュニケーション」の理念から、かけ離れたものとなっています。
(3)規制の対象
 WGは、規制対象を送電線や変電所などの電力設備だけとしました。しかし、超低周波磁場は、家電製品や、室内配線などからも発生するため、規制対象を電力設備に限ることに合理的な理由はありません。
 室内環境全体や、公共交通機関等の生活環境や、労働環境も含めたあらゆる超低周波磁場発生源をも、規制等の対象とすべきでした。
(4)WGの委員構成と運営
 既に述べたように、WHOは、すべての利害関係者に開かれたリスクコミュニケーションによる政策決定を勧告しています。しかし、WGには、規制を受ける当事者である電力業界の代表が委員として参加した一方、電磁波問題に取り組んできた市民団体等からの委員としての参加は(私たちが事前に経済産業省へ要望したにもかかわらず)認められませんでした。また、委員に選ばれた研究者のうち少なくとも2名は、超低周波電磁波の規制対象である電力業者や、高周波電磁波の規制対象である電気通信業者から研究費を得ています。インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べている厚生労働省研究班長に、タミフルの輸入販売元から研究資金が渡っていたこと等が問題になりましたが、これと同様の利害相反の問題がWGにもありました。
 以上のように、WGの委員構成は電磁波の安全性を強調する立場に偏っているなど、公正・公平なものではありませんでした。
(5)電磁波過敏症についての認識
 生活環境中に一般的に存在するさまざまな電磁波によって、頭痛、皮膚の痛み、集中力欠如などさまざまな症状が引き起こされる「電磁波過敏症」について、WGの報告書は「症状と電磁波の曝露に関係は認められない」(10頁)と書いています。電磁波過敏症に関する先進的な診療や研究に取り組んでいる医師・研究者が存在するにもかかわらず、そうした医師・研究者に対して、WGは何らの調査もしないまま、「関係は認められない」と書きました。
 経済産業省は現在、WG報告書に基づいて超低周波磁界の規制値策定へ向けた作業を進めていますが、以上の通り、WG報告書には問題が多く、これに基づいた規制等によっては、市民が安心して健康的に暮らすことはできません。
 したがいまして、規制値策定作業を中止し、市民団体も加わった公正・公平なメンバー構成による場において、超低周波電磁界に関する規制等のあり方について検討をし直すことを求めます。

高周波電磁波(総務省所管)について
 総務省は従来から、高周波電磁波の健康影響についての研究を推進していますが、以下の通りの問題点が明らかになっております。
(1)業務請負
 高周波電磁波の「生体安全性評価に関する研究・検討を行う」ことを目的に、総務省は「生体電磁環境研究推進委員会」を1997年に設置し、10年間にもわたる活動を経て、2007年に「現状の電波防護指針は適当である」等の内容の報告書を公表しました。同委員会は、実際の調査研究業務を「財団法人テレコム先端技術研究支援センター」に請け負わせていました。同センターは情報通信技術研究を促進し経済の発展に貢献することを目的に掲げ、家電メーカー、電気通信業者、放送事業者などを会員とする公益法人であり、専務理事の一人は総務省から天下っています。これら各会員はいずれも電磁波を利用して業務を行うか、または電磁波を発生する家電などの製造販売を業務としています。かかる同センターが電磁波についての研究を行っても、「健康への影響は認められない」という結果以外の「研究成果」が出るはずはありません。このような公正・公平さに著しく欠ける態勢による研究に、国は年間約4億円もの莫大な公費を注ぎ込み続けてきました。同センターの事業収益の一般会計の約60%をこの業務請負経費が占めています。また、2008年度でみると業務請負経費の約10%は間接経費として財団に支払われ、直接経費の約8%は調査や報告書のまとめの人件費として支払われています。また、業務請負契約のため経費が実際にどのように使われているのか市民には確認することが出来ません。
(2)委員構成
 上記報告書を作成した委員会は、委員35名のうち、約半数が電磁波による健康被害が認められ、電波の規制が現在よりも厳しくなると困る立場にいる電気通信業などの産業界関係者であり、公正・公平な委員会構成ではありませんでした。
 研究を担当実施している数名の委員について研究費開示を請求いたしました。同センターから受託研究費を受け取っているはずですが、開示資料が黒塗りされ同センターの名前を確認できません。1名については同センターの名前が開示されましたが、金額が黒塗りでした。
 同じく関連企業からの寄付金について開示は1名のみでした。以前市民団体が委員と企業との利益相反関係について総務省に質問しましたが、それについての回答はありませんでした。
(3)研究の質
 同委員会が(財団法人テレコム先端技術研究支援センターへ請け負わせて)行ってきた研究について、上記報告書は「公正かつ中立的」「研究の質、精度は従来の研究に比べて十分に高い」と自画自賛していますが、その評価の具体的根拠は何も示されていません。実際は、市民団体からの質問状に対して、委員自らが「論文としては受理されない」と認めている程度のレベルの研究結果も含まれているなど、「研究の質、精度は従来の研究に比べて十分に高い」とは言い難い内容の報告書となっています。
 生体電磁環境研究推進委員会の終了後の2008年、「電波による人体への影響に関する研究を促進するとともに、電波防護指針の評価・検証を行うことを目的として」総務省は「生体電磁環境に関する検討会」を新たに設置しました。新検討会は、旧委員会と比べて、一部委員の入れ替えはあるものの、主要委員は残っており、事実上、新検討会は旧委員会を引き継いだものであると言えます。
 新検討会は、2010年度以降に取り組むべき研究課題について、市民から公募しました。しかし、本年(2009年)7月13日に開かれた第3回検討会では、市民が応募した研究課題の採用について、委員がことごとく否定的な見解を示しました。それらに対して市民からの反論の機会は与えられていません。
 このように、新検討会の運営等は、旧委員会と同様、公正・公平とは言えません。かかる態勢において研究を推進しても、莫大な国費が浪費されるだけで、意義のある科学的知見を得ることは期待できず、電波利用事業者等を利するためだけの「研究成果」が次々と公表されるだけになることは明らかです。なお、旧委員会終了後、2007年度より研究は公募になり、センターに設けられた評価会で研究担当者を選定する方式になりました。しかし、評価会の構成員と会議録は公開されていません。
 このような、莫大な税金の無駄遣いを予防するために、総務省における電磁波と健康影響に係る研究予算のうち、既に予算化されたが執行停止が可能なものは停止し、また、新年度予算には計上しないでください。そして、市民団体も加わった公正・公平なメンバー構成による場において、研究テーマ、研究態勢など、研究のあり方について一から検討し直すための場を設けるための予算化(新検討会が提案した研究費の予算化よりは、はるかに少額で済むはずです)をしていただくよう、要望いたします。

以上




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